国際交流基金「日本紹介のための文化人派遣(助成)」プログラムの支援を受け、落語家2名(柳家さん喬師匠、柳亭左龍師匠)と紙切り師(林家二楽師匠)をミドルベリー大学夏期日本語学校に文化紹介をしていただくために、お招きしました。教員や学生たちと一緒にキャンパスに一週間滞在し、各レベルのクラス訪問と落語会を実施しました。大変、好評でした。
東芝国際交流財団から三年間の助成を受けられることになり、再度、さん喬師匠、左⿓師匠、そして、大神楽の鏡味仙花さんをお迎えし、活動を継続しました。
この年には、学⽣達に短い⼩噺を覚えてもらい、師匠⽅に稽古をつけてもらって、落語会の前座として⾼座に上がるという機会を用意しました。結果は⼤変好評で、学⽣達は熱⼼に取り組み、全員無事に⾼座で小噺を披露することができました。この年の取り組みを通して、小噺は学習者が演じることで参加型の文化活動に使えるという可能性が見えてきました。
わずか2〜3⾏の⼩噺を理解してもらうためには、⽇本語の発⾳やアクセントは正確である必要があります。短い分、覚えることに対する負担は軽いわけですが、聴衆から本当の笑いをとるためには、⾃分たちの発⾳のあまさや⾔葉の間を認識して、繰り返し練習し、直さなければなりません。
ここに、⼩噺を演じることと⽇本語学習の接点を⾒いだすことができます。また、学⽣達は練習するなかで、どうしたらもっと⾯⽩くなるかと考え始めます。他の学⽣達もそれぞれの意⾒を⾔うようになり、協働学習が発⽣します。さらに、⽇本語や英語のジョークを⼩噺のスタイルに仕⽴て直したいと思う学⽣が出てきます。
2007年は学⽣達からいろいろな可能性を教えてもらったターニングポイントでした。
2008年も東芝国際交流財団の助成のおかげで、前年同様の活動を⾏うことができました。
学⽣⼩噺の活動も発展し、⼈数が増えただけでなく、⽇本語の⼀年⽣が数名参加して、⾼座で⽴派に⼩噺を披露しました。⼀年⽣の場合、⾼座に上がった時点で、⽇本語学習歴は四週間ほどしかありません。しかし、上級⽣に混ざって出来たという結果は本⼈が得られた達成感だけでなく、一年生というグループ全体の志気の向上にも繋がったのではないかと思われます。
2008年の秋にはイースタンミシガン⼤学の久保田さゆり教授のもとで、本サイトの旧版を使って学⽣⼩噺活動が⾏われました。その時の学⽣さん達の成果も実践例の中に含まれています。
2009年の夏は東芝国際交流財団からの助成の最終年度でした。前年同様の活動を続けることができました。また、秋には畑佐が博報児童教育振興会の⽀援で、お茶の水女子大の客員となり、六ヶ月間東京に滞在し、その間に小噺活動を実施し、12月には学習者も交えた「お茶ノ水女子大 国際理解のための落語会」を催しました。
ミドルベリー日本語学校では、学生の小噺活動ととして定着し、2018年に畑佐が校長職を離れるまで毎年行われました。2016年から2018年までは柳亭左龍師匠の代わりに林家正蔵師匠が参加してくださいました。
2012年と2013年にはさん喬・左龍の両師匠がハンガリー、チェコ、ポーランドに招聘され、学習者の小噺とプロの落語を交えた活動が行われました。
また、日本国内では、日本語教員を対象にした小噺ワークショップを行いました。(国際日本語普及協会 2015年、文教大学 2014年)
2014年に海外で落語を広めることに寄与したことで、さん喬師匠が国際交流基金賞を受賞なさいました。本活動も受賞理由に入っています。
2017年にさん喬師匠が文化庁からの要請で文化交流使をお引き受けになり、1カ月間の北米公演ツアーを行いました。ボストン大学、ハーバード大学、トロント大学、ミシガン大学、パデュー大学、UCLA、ハワイ大学で落語公演を行いました。それぞれの大学の学生達も日本語で小噺を披露しました。
2019年には⽇本語教員のための⼩噺指導ワークショップを数回開催しました。(東京、広島、福岡)
翌年2020年はコロナ禍でライブのイベントができなくなる中、国際交流基⾦ロンドン⽀局主導で、ヨーロッパの⽇本語教員向けにZoomを使ったオンラインでのワークショップを開催しました。その成果として、2021年にはオンライン⼩噺発表会が行われました。
畑佐一味(責任者)
パデュー大学教授 ミドルベリー大学夏期日本語学 校長(2005-2018)
久保田佐由利
イースタンミシガン大学教授
柳家さん喬
落語協会常任理事
柳亭左龍
落語協会所属真打ち
ミドルベリー夏期日本語学校の学生達
ランガム、シー、シューシ、リー、レイエス、ヤマネ、ゴールドスティン、ブランド、リー、ジュージェビック、ルビンスタイン、リム、ミラー、シュナイダー、バーント、ガイフマン、フォルテ、シン、ソロモン、ケイン
イースタンミシガン大学の学生達
アラー、ヒューズ、コリー、レイン、ヘアース、オクラー、エイムス、ネルソン、マクレイン、シション、ジョンソン、カーライル、スタント、リーマスマ、ウィルソン、スリロ