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「寿司でひらがな」開発ノート

パデュー大学名誉教授 畑佐一味 <khatasa@purdue.edu>
パデュー大学教育学部博士課程 サメト・バイダル  <sbaydar@purdue.edu>
パデュー大学CGテクノロジー学科修士課程 アンジェラ・ヒメネス <angela.jimenez.2222@gmail.com>

 

 

    

開発の経過

本プロジェクトは日本語教育でのVRの使用に興味を持っている教員が、学内の人的リソースを使って、VRコンテンツの制作が可能かを検証することを目的としたものです。プロジェクトの進行の段取りは教育学部博士課程の大学院生(サメト・バイダル)が行いました。

第一段階:ゲームデザイン

パデュー大学ポリテクニック学科にはUXデザインを専攻する学生達が履修するStudioと呼ばれるコースがあります。(UXはuser experiencesのことです。)このコースは外部から招かれた「スポンサー」(主に、地元企業)が解決してほしい問題のプレゼンを行い、学生達はその中から興味があるものを選び、解決策をデザインするというものです。日本語教員(筆者)がこのコースの担当教授と話したところ、スポンサーとしてプレゼンをしてほしいと招かれました。そこで、「ひらがなを楽しく学ぶためのVRゲームの開発」というテーマのプレゼンを行ったところ、10名ほどの学生が興味を持ちチームが結成されました。学生チームは日本語の文字体系や人気がある文化などのディスカッションを通し、寿司屋で注文するという環境を使って、日本語の文字を学習するという案が提出されました。(日本語教員が陥りがちの言語教育的な発想とは違った切り口だったので印象的でした。)そして、実際の人間を使って、シナリオに沿ったモックアップ動画を録画し、学期末にはVRコンテンツとして制作可能なデザインを発表し、それをもって、UXチームのプロジェクトは終了した。

     

ゲームでは客の注文した寿司ネタを出すためには、ひらがなが読めないとできないようにしてありますが、寿司ネタの絵も用意されているので、語彙学習も同時に発生することになります。

第二段階:Unityを使ってアプリ開発

デザインをVRコンテンツに落とし込む(コードを書く)可能性を模索していた時に、たまたま日本語の授業を履修していたコンピュータ工学の学生が興味を持ち、本人のプログラミングプロジェクトとして、デザインとモックアップ動画を元に、Unityを使ってリアルタイム3Dコンテンツの制作を行ない、プロトタイプを完成させた。寿司屋の店内、客のキャラクター、寿司ネタなどのアセットは購入した。その後、CGテクノロジーの大学院生(アンジェラ・ヒメネス)をリサーチアシスタントとして雇い、Meta Quest用に配布可能なAPKファイルを完成させた。

  

第三段階:ゲームの有用性の検証

初級日本語の授業を履修している学習者にゲームを試してもらい、ゲームの有用性、VRの使用感に関するアンケート調査を行いました。学習者からの反応は良好でした。その結果は二つの学会で発表しました。2025年CALICOシンポジウム"Role-play in Immersive Virtual Reality: Working in a Sushi Restaurant" (Samet Baydar, Kazumi Hatasa) と2026年IALLT-FLEAT8 "Interdisciplinary Collaboration for Language Learning: Sushi Restaurant Game in VR" (Samet Baydar & Kazumi Hatasa)

このプロジェクトを通じて、VRを使った教育ゲームの開発には、教育コンテンツ、Instructional design、ゲームデザイン、プログラマーと様々な分野での専門知識が必要であることが検証できました。少なくとも、パデュー大学のような総合大学では学内の人的リソースだけを使っての開発は可能であることがわかりましたが、ごく限られた教育コンテンツにも関わらず、大きな時間とエネルギーが必要であることも分かりました。

       実際の寿司屋の写真
   

 

「寿司でひらがな」アプリの設定の仕方

「寿司でひらがな」はMeta社が認めた正式なアプリではないので、試作アプリとして扱う必要があります。そのためには、利用者が自身を「開発者」として登録し、ヘッドセットの「開発モード」をオンにしなければなければなりません。そして、アプリをヘッドセットにインストールするにはSideQuestというアプリを使います。以下はその方法です。

<試作アプリのダウンロード及び設定方法とSideQuestの使い方を既にご存知の方達はこちらに従ってください。>

1 ヘッドセットとリンクしているスマホでMeta Horizonアプリを使って、「開発モード」をオンにする。
2 パソコンのブラウザから以下のURLにアクセスし、開発者登録をする。
https://developers.meta.com/horizon/sign-up/
3 指定されたリンクからzipファイル (sushi-hiragana.zip)をダウンロードし、展開すると「SushiV2sets.apk」が現れる。
4ヘッドセットとパソコンをUSBケーブルで接続し、SideQuestアプリを使って、apkファイルをヘッドセットにアップする。
5 ヘッドセットのlibraryのunknow sourcesフォルダを開き、Set2VRを選んで、ゲームを始める。

<試作アプリのダウンロード及び設定方法とSideQuestの使い方を知らない方達はこちらに従ってください。>

1 ヘッドセットの開発モードをオンにする。
スマホにMeta Horizon アプリをインストールして開く。
アプリの「メニュー」(画面左上の3本線)から「デバイス」を開いて、ヘッドセットとアプリをペアリングする。
接続しているヘッドセットを選択する。
「ヘッドセットの設定」を選択して、「開発者モード」をオンにする。

2 パソコンのブラウザから以下のURLに入る。
https://developers.meta.com/horizon/sign-up/
Metaのアカウントにログインして、Meta Horizon開発者になる登録をする。
Organization Nameを入力するよう求められるが、名前は任意に決めて構わないので、「my project」のような名前を入力する。

3 以下のファイル名をクリックしzipファイルをダウンロードする。展開すると「SushiV2sets.apk」が現れる。
sushi-hiragana.zip

4 パソコンに下のURLからSideQuest Desktop App (WIN or MAC) をダウンロードし、インストールする。(SideQuestはパソコン上にあるファイルをヘッドセットに転送するためのアプリ)
https://sidequestvr.com/setup-howto

5  SideQuestを開き、ヘッドセットをUSBケーブルでパソコンに接続する。 (ログインの必要はない。)
接続が成功すると、画面左上の赤いマークが緑に変わる。

ダウンロードのアイコン(下向き矢印)をクリックして、APKファイル (SushiV2sets.apk)を選択し、ヘッドセットにダウンロードする。

6 ヘッドセットとパソコンのUSB接続を切り、ヘッドセットを被る。libraryのunknow sourcesフォルダを開き、Set2VRを選んで、ゲームを始める。



Contact: 畑佐一味(Kazumi Hatasa)
khatasa@purdue.edu
Purdue University

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