「きょうを守る」字幕プロジェクト

プロジェクトディレクター:畑佐一味(パデュー大学外国語・外国文学科教授)khatasa@purdue.edu

 

 

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背景

本プロジェクトは菅野結花さんが監督・製作した東日本大震災をテーマにしたドキュメンタリー映画「きょうを守る」に英語の字幕をつけ、英語圏の人達にもこのドキュメンタリーを観てもらうことを目的として行われました。

菅野結花さんは陸前高田市の出身で、2011年当時は山梨県立大学の三年生でした。東日本大震災で実家が流されました。(本人は当日は山梨県にいました。)「きょうを守る」は、同大学の前澤哲爾教授の指導の下、菅野さんの母親、同級生、そして同級生の親御さん達に菅野さん自身が2011年の夏にインタビューを行い、撮影、編集したドキュメンタリー映画です。本作品は、地震の様子や津波が襲ってくる光景などを中心にした記録ではありません。インタビューされる側とする側がどちらも災害の当事者であり、家族や知人であることで、個人的な違いや、内面の心理が引き出されています。そして、制作者の「何が起こったのか、そして、起こっているのかを忘れないでほしい」という思いが伝わってくる作品になっています。また、菅野さん自身は意識していなかったかもしれませんが、本人と同級生達の人間的成長の記録とも言える一面も持っています。作品の主題歌として使われている「ほしぞらとてのひらと」は覚和歌子氏の作詞、丸尾めぐみ氏の作曲によるものです。

「きょうを守る」は2011年10月から11月にかけて開催されたやまなし映画祭に出品され、その様子をNHK山梨放送局が取材して、NHK TVの全国ニュースで流されました。NHKニュース

インディアナ州在住の畑佐(パデュー大学)がこのニュースをNHK国際放送(テレビジャパン)で視聴し、字幕をつける可能性に興味を持ち、その旨を山梨映画祭の主催者にメールをしたところ、菅野氏は畑佐の申し出を快諾し、本字幕プロジェクトが始まりました。

畑佐は字幕つけ作業を日本語学習者が手分けして字幕をつけるという教育プロジェクトとして位置づけました。こうすることで、単なる字幕つきのドキュメンタリーを制作するだけのプロジェクトではなく、日本語の学習活動をしながら、震災の被害についての理解を深め、これからの復興について考える機会を持つというプロジェクトになりました。呼びかけをした結果、最終的に日米十二校から約70名の日本語学習者が参加してくれることになりました。

本編(70分)は五分ほどの16の部分に分割して、参加校に割り当てました。脚本に基づいた台詞があるドラマや映画と違い、自然なインタビューでは、言いよどみ、言い換え、繰り返し、独り言、間違い、終わりがない文などが多く含まれ、文字おこしの作業は学習者には難しかったと思いますが、いい学習経験でもあったと察します。難しすぎる場合は担当教員あるいは日本語母語話者が手伝いました。文字おこしした日本語を英訳し、それを字幕ソフト(Aegisub windows Aegisub Mac)を使って、独立した字幕ファイルを作る作業を進めました。パデュー大学の同僚である深田淳教授に技術的な協力をしていただきました。英語字幕付けの作業は2012年3月に終了し、4月から米国内外の大学での上映会が始まりました。 DVDでの配布を通して、2012年から2013年にかけて、50校ほどで上映が行われました。その後も国内外で上映が続けられています。

「きょうを守る」(英語字幕版)予告編

 

2011年の字幕つけ作業に参加してくれた学生達

パデュー大学        インディアナ大学      タフツ大学     アメリカカナダ大学連合日本研究センター(IUC)      

   

協力校:パデュー大学、アメリカ・カナダ大学連合日本研究センター、タフツ大学、フランクリン&マーシャル大学、エリザベスタウン大学、ワシントン&リー大学、ノートルダム大学、インディアナ大学、イリノイ大学)、カールトン大学)、ユタ州立大学)

 

2012年以後の展開

2012年   米国内五十校あまりで、上映。

2012年   東京外国語大学鈴木美加氏の協力で日本語、韓国語、トルコ語、モンゴル語の字幕つけプロジェクト

2013年3月  全米日本語教師会にて、本プロジェクトに関する発表

2015年1月 「目の前にある、この風景を残すために。海を渡った、女子大生が作った記録映画」(水野久美著)が「広がりゆく支援の輪」第8巻に収録される。YukaKannoStory.pdf

2021年   中国語とインドネシア語の字幕完成

2021年   アラビア語字幕作成計画中(国際交流基金カイロ) チェコ語字幕完成(カレル大学)    

 

 

現在(2021年3月)

「きょうを守る」本編は以下の言語での字幕をつけて、視聴・上映が可能。

日本語、英語、韓国語、トルコ語、モンゴル語、インドネシア語、中国語、チェコ語

上映に関しては(教材としての利用も含む)畑佐(khatasa@purdue.edu)にお問い合わせください。
教育利用の場合は無料です。

 

 

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本プロジェクトに関する新聞記事、上映会記録など

   

山梨日日新聞 2012年8月17日

朝日新聞 2012年4月4日

モンゴルでの上映会 2015年3月11日 2015年3月14日

インドネシアでの上映会 2021年3月6日

 

 

動画

NHK BS1 ワールドwaveトゥナイト 2012年7月12日

菅野さんのサプライズパーティでの「ほしぞらとてのひらと」の合唱  2012年7月

 

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