メディアと食文化

食文化を題材にした漫画

1950年代に刊行された漫画雑誌により、日本の子供達に漫画が浸透し始めました。
ギャグ漫画、スポーツ根性漫画(スポ根漫画)、劇画など漫画の種類も増えていました。同時に読者層も子供だけでなく、中高大学生と広がっていき、社会人も漫画雑誌を読むようになりました。

そんな中で、食べ物を題材にした「包丁人味平」という漫画が1973年に週刊少年シャンプに連載されるようになりました。この漫画の人気が元で料理漫画という新しいジャンルが出来上がり、その後も食べ物をテーマにした漫画が描かれるようになりました。
包丁人味平では味平という名前の主人公が料理人として成長していく物語が描かれていて、料理をテーマにした戦いの相手が出てくるなどスポ根漫画的な部分もありました。

その十年後、1983年に雑誌ビッグコミックに登場した「美味しんぼ」は、主人公が食文化担当の新聞記者という設定の話で、とても人気のあるシリースになりました。「美味しんぼ」では食に関する様々な話題を扱ったエピソードが盛り込まれ、単においしい料理を作ったり、食べたりするだけでなく、食をめぐる社会問題や環境問題などにも踏みこんでいます。もちろんエピソードの中には食材や調理方法に関する知識も豊富に盛り込まれています。

その後も、食を扱った漫画の種類は増え、テーマも日本酒造り、ワイン作り、寿司、魚河岸、洋食のレストラン、レシピ、自然食、ラーメンなど多岐に渡っています。そんな中、2004年に登場した「もやしもん」は「発酵」をテーマにした漫画で他の作品と一線を画していたと言えます。農業大学に入学した大学生の主人公が微生物が肉眼で見えるという特殊な能力の持ち主であるという設定で、毎回我々の生活の中にいるカビや菌類などによる発酵という現象を漫画的に扱っています。普段の生活の中では意識しない菌の存在を楽しく気づかせてくれるストーリーで、ただ面白いだけでなく、実際新しいことを学ぶことができます。


フジテレビ・「もやしもん」アニメ版ホームページ

「銀の匙 Silver Spoon」は2011年から週刊少年サンデーに連載された漫画です。2014年に映画化されました。農業高校の生徒たちの生活を通して、描かれています。

「銀の匙 Silver
Spoon」アニメ版ホームページ 

「銀の匙 Silver Spoon」映画作品情報 

最後に「深夜食堂」という漫画を紹介します。2006年にビッグコミックに登場し、現在(2020年)も連載中です。この漫画は、深夜営業を専門にする繁華街にある食堂の店主とそこにやってくる様々な客の人生模様を描いています。客の思い出の料理を店主が作ってくれるという形で食が関わってきます。食べ物そのものではなく食べる人と料理の関わりが嬉しかったたり、寂しかったり、そして時には悲しかったりして、人間模様がうまく描かれています。

「深夜食堂」ドラマ版

食文化を題材にした映画

映画の世界では、1985年に伊丹十三が脚本を書き、監督した「タンポポ」という映画が公開されました。この映画は現在はたくさん作られている食をメインテーマにした映画の原点になったような作品と言えます。人気のないラーメン店を二人の男(トラックの運転手)が助けて、人気店に仕立てていくというストーリーで、アメリカの西部劇をモチーフにして展開していく娯楽作品です。また、映画の中にさまざまな食に関するエピソードが挿入されています。

「タンポポ」映画紹介

最近では、食を扱った映画も多様化しました。原作が漫画のものも数多く見られますが、2009年に公開された「南極料理人」は少し違いました。南極越冬隊に料理担当として参加した隊員が書いた原作「面白南極料理人」(新潮文庫)に基づいて映画化されました。限られた食材と南極という厳しい環境のなかで工夫しながら、他の隊員たちのために色々な料理を作っていく姿が描かれています。南極という特殊な環境が設定になっていることで、普通の生活をおくっている私たちにとっては何でもないことが障害になったりするエピソードが興味深いです。

「南極料理人」映画作品情報

また、江戸時代の武士の話でも料理が扱われている映画があります。例えば、「武士の献立」(2013年)は包丁侍と呼ばれた君主の料理を作るのが仕事だった武士の話です。武士というと刀を持って戦う軍人というイメージが普通ですが、戦争がなかった江戸時代には武士の多くは官僚的な仕事をしていました。その中に、料理専門の武士もいたわけです。


「武士の献立」映画作品情報

「二郎は鮨の夢を見る」(2011年)は有名な鮨職人のドキュメンタリーです。一流の寿司を作って、お客さんに出すというのはどういうことかを通して、鮨職人次郎の仕事に対しての向き合い方を掘り下げていく映画です。


「二郎は鮨の夢を見る」作品ホームページ

 ある精肉店のはなし(部落民と人権を扱っている)


「ある精肉店のはなし」(2013年) 作品ホームページ 

番外編

 1970年代に子供向けの絵本として登場します。その後、アニメ化されて、現在も放映されています。主人公は顔があんパンでできているアンパンマンという名前のヒーローで、正義のために戦うというストーリーです。お腹が空いた人がいると自分の顔を食べさせてあげるという行動をとります。そして、代わりの顔を焼いてもらいます。自分を食べさせるという自己犠牲は作者やなせたかし氏が食べ物がなくお腹が減っていた戦争時代の体験の影響を受けています。食とは直接関係ありませんが、いろいろな食べ物がでてきます。(食パンマン、カレーパンマンなど)

世界的に有名になった日本のマンガ(コミック)はそのジャンルの広さでも他に類を見ません。対象となっている読者も子供だけでなく、いわゆる大人も読者に入っているので、内容的にも様々なテーマが扱われています。

Column

番外編

江戸文化に造詣深い筆者による日本の食に関するコラムです。