第28回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム&第27回BATJ年次大会
英スタッフォード州キール大学 2025年8月30日

教育ツールとしての小噺の魅力 ー世界各地からの実践報告ー   (米国、日本、フィリピン、マレーシア、タイ、ギリシャ)

Appeal of kobanashi as instructional tool - Reports from around the world (U.S.A., Japan, Philippines, Malaysia, Thailand, and Greece)

畑佐一味(パデュー大学)西村裕代(イェール大学)榊原芳美(ミシガン大学・北海道国際交流センター)青木利江(フィンドレー大学) アレクサンダー・マカイナッグ(フリーランス、フィリピン)藤光 由子(国際交流基金マニラ日本文化センター)えどわーど・りー・ちー・ぺん(マレーシア日本語協会)濵田 典子(秋田大学)森田衛(国際交流基金バンコク日本文化センター)エレニ・アポストル(フリーランス、ギリシャ)ブランド 那由多(ミドゥカ、スイス)

Kazumi HATASA (Purdue University), Hiroyo NISHIMURA (Yale University), Yoshimi SAKAKIBARA (University of Michigan, Hokkaido International Center), Alexander MACAINAG (Freelance, The Philippines), Yuko FUJIMITSU (The Japan Foundation, Manila), Chee Peng (Edward) LEE (The Japanese Language Society of Malaysia), Noriko HAMADA (Akita University), Mamoru MORITA (The Japan Foundation, Bangkok), Eleni APOSTOLOU (Freelance, Greece), Nayuta BRAND (Miduca AG, Switzerland)


パネル発表動画 英語字幕付き(2025/8/30)
Panel presentation with English subtitles

 

参考文献一覧・追加資料

パネル全般

みんなの小噺プロジェクト(論文・マスメディア)

KKGHホームページ

 

1 米国での小噺指導ワークショップからの実践例二つ (西村、榊原、青木)

1-1 米国イェール大学での初級と上級コースにおける小噺活動(西村裕代)

有田佳代子 (2016) 「演劇的手法を用いた言語教育授業の実際と評価」 2016 年度共同研究報告 『人文社会科学研究所年報』 敬和学園大学 <https://one-taste.org/kobanashi/wp-content/themes/kobanashi/img/documents/Arita-2017.pdf> (最終閲覧 2025 年 7 月 20 日)

五十嵐江理 (2022) 「日本語会話授業における小噺活用の効果について」『鳴門教育大学国際教育協力研究』第 16 号, 85−91. <https://naruto.repo.nii.ac.jp/records/29702> (最終閲覧 2025 年 7 月 20 日)

小熊利江・高木三知子 (2022) 「小噺を用いた日本語授業の実践と教師の内省-ベルギーの大学における オンラインでの体験型学習-」 34回日本語教育連絡会議論文集, 42-49. <https://biblio.ugent.be/publication/8751275> (最終閲覧 2025 年 7 月 20 日)

国際小噺合同発表会(KKGH) ホームページ <https://sites.google.com/view/kobanashifestival/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0-home?authuser=0> (最終閲覧 2025年7月20日)

根元佐和子・ブランド那由多 (2022) 「小噺を授業に!教師たちの学び報告」 AJE ニュースレター第 69 号 <https://www.eaje.eu/ja/nl-article/46>(最終閲覧 2025 年 7 月 20 日)

畑佐一味・久保田佐由利 (2009) 「一人で演じる⽇本語会話:小噺プロジェクトの実践報告」第16回プリンストン大学⽇本語教育フォーラム論文集, 20-31. <https://pjpf.princeton.edu/sites/g/files/toruqf1151/files/pdf/07-hatasa-kubota.pdf> (最終閲覧 2025 年 7 月 20 日)

畑佐一味『みんなの小噺プロジェクト』Webサイト <https://one-taste.org/kobanashi/> (最終閲覧 2025年7月20日)

畑佐一味 (2023) 「学習者が演じる小噺 - 国際小噺合同発表会 (KKGH) の活動から見えてくるもの-」公益社団法人日本語教育学会 - 世界の日本語教育 <https://www.nkg.or.jp/musubu/.assets/20231215_kokusai.pdf> (最終閲覧 2024年3月9日)

藤光由子 (2021) 「日本語教育アドバイザーの仕事 〜「学びの舞台」をつくる〜」 世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)ロンドン日本文化センター <https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/teach/dispatch/voice/voice/seiou/uk/2021/report02.html> (最終閲覧 2025年7月20日)

ブランド那由多 (2021) 「小噺で楽しく繋がろう」 AJE ニュースレター第67号 <https://www.eaje.eu/ja/nl-article/46> (最終閲覧 2025年7月20日)

ブランド那由多・加村彩・高木三知子・遠藤真理 (2023–4?)「教師・学習者の共生の場 -笑いでつながるバリアフリーの小噺発表会-」 第26回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム(口頭発表) <https://eaje.eu/pdfdownload/pdfdownload.php?index=485-496&filename=koto33.pdf&p=ghent2023>(最終閲覧 2025年7月20日)

森真由美 (2018) 「落語を利用した日本語教育の研究」金城学院大学大学院 博士論文 <https://kinjo.repo.nii.ac.jp/records/993> (最終閲覧 2025年7月20日)

 

1-2  北海道国際交流センター (HIF) 小噺実践報告 (榊原芳美 青木利江)

2 フィリピン小噺祭りレポート:学習者オートノミーと文化間理解を促進する場の創出 (アレクサンダー・マカイナッグ 藤光由子)

Nihongo Fiesta 2025 Highlights DAY 1

玉置桜 (2025) フィリピンでつながる小噺 日本語パートナーズ 2025年3月

ブランド・那由多(2025)「成人学習者クラスのこばなしプロジェクト―学習者と教師の学び、そして日本語教室という場について―」『フランス日本語教育』11:フランス日本語教師会:pp.68-80.

時本美穂・小澤直子・小林玲子・ベイリー芽生・ニクソン由実・ブランド那由多・藤光由子・植原久美子・西澤芳織(2020)「教師の 深い学び合いの 場の 創造と 専門性 ―主体的・自覚的・対話的に― 」『ヨーロッパ日本語教育』 26: pp.99-133.  

教師のためのオンライン小噺ワークショップ(公開バージョン)
2024年に行ったフィリピンの日本語教師用のワークショップで使ったPadletです。個人のパーフォーマンスの一部は削除されていますが、ワークショップを実施する場合のリソースとしてご覧ください。

3 マレーシア小噺プロジェクト「国際訪日『ともに笑う』小噺研修」(えどわーど・りー・ちー・ぺん 濱田典子)

4 タイでの日本語教師のための「こばなしワークショップ」実践から見えてきたこと(森田衛)

5 不安から自信へ - 小噺とともに歩んだギリシャ人日本語教師の道  (エレニ・アポストル)


エレニさんのインタビュー動画

6 つながりと関わり合いの触媒としての小噺の魅力 (那由多・ブランド)

Hatasa, Kazumi (2012). Integrating Rakugo and Kobanashi in Japanese Language Classes at Different Levels, Japanese Language and Literature, 46(1). 201-215.

Baker, Will (2021): From intercultural to transcultural communication, Language and Intercultural Communication, DOI: 10.1080/14708477.2021.2001477

Matsakis Louise (2024): The End of Foreign-Language Education https://www.theatlantic.com/technology/archive/2024/03/generative-ai-translation-education/677883/ April 03, 2024, The Atlantic Online, last accessed 31.07.2025

遠藤真理・加村彩・高木三知子・ブランド那由多 (2024) 「教師・学習者の共生の場ー笑いでつながるバリアフリーの小噺発表会―」『ヨーロッパ日本語教育』 27: pp.472-483.

 

 

小噺の型に関しての一案(畑佐)

初めて小噺活動をやってみようと思っている方は落語家が演じる小噺のイメージを持ってしまって、ハードルが高いと感じてしまうかもしれません。また、教員自身がやったことがないので、学生に教えることなどできないと考えてしまうかもしれません。しかし、そうでないことは、これまで何度も行ってきた教師用の小噺ワークショップを通して証明できたと思っています。

「Kobanashi」という考え方

教育ツールとしての小噺はKobanashiとして柔軟性を持たせるというも一案かもしれません。ただし、Kobanashiとして成立するための一定の条件を満たしている必要があるだろうと思います。そこで、以下にKobanashiの条件をあげてみます。

1 オチ(サゲ)がある。
2 一人で演じる芝居である。*1
3 座ったままで演じる。 *2
4 小道具は、原則として、扇子と手拭いの二つ。 *3

*1 小噺では複数の登場人物を一人が演じ、ナレーションが少ない。中にはナレーションの部分が多い演目もあるが、日本語での表現の練習と考えると台詞ベースのもののほうが好ましいだろう。語学能力に応じて、複数人で演じるというバリエーションは可能。ただし、二人が向き合って演じると漫才のようになるので、それはしないほうがいい。

*2 「座ったまま」は原則として正座だが、足が悪かったり、正座ができない演者は膝立ち、あるいは、腰掛けて演技をする配慮をする。どんなものでもいいが座布団・クッションは必要。高座の上を動き回ることはしない。

*3 二つの小道具を色々なものに見立てて、仕草と合わせて表現するのが小噺(落語)のやり方であるが、学習者の演出意欲や創造性を尊重し、他の道具を使うことも可能。

実践環境

・ 「人を笑わせる」という目的があるので、笑ってくれる聴衆が必要である。(できる限り、教室内発表だけじゃなく、本物のお客さんに聞いてもらう場を用意する。)
・ 学習者は浴衣、着物、じんべえ、法被などを着ることは好きで、場が盛り上がるので、そのような機会を用意する努力は価値がある。しかし、必要条件ではない。
・ 高座があると、本番感が格段に上がる。高座は生地屋で比較的安価で購入できる赤い布で台やテーブルを覆うことで簡単に作ることができる。
・ 座布団は紫色の特別なものである必要はない。なければ、クッションでも代用できる。
・ お辞儀や高座返し(演技の後、座布団を裏返すこと)は落語での決め事で文化の一部と考え、実践に入れることを推奨する。本物感(authenticity)が増す。

オリジナル小噺や翻訳小噺への対応

オリジナル、あるいは、他言語から翻訳して小噺を作ることに興味を持つ学習者がいる。その場合には、なるべくナレーションを少なくし、台詞と仕草ベースの脚本に仕立てるように指導すると小噺らしくなる。

学習者からの新しいアイデアには柔軟に対応する。創造性は大切。

 

 

アクセスカウンター